渡邉明弘建築設計事務所 [AKI WATANABE ARCHITECTS]

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更新され続けるファサード

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Category
Date
2025.10
Summary

築36年になる雑居ビルの再生計画である。躯体保護の役割も持つアルミパネルの外装材が入居テナントにより傷められていたこと、今後もそうなるであることが想定された。そこで、躯体の保護は外装材に頼らないこととし、躯体自体を補修することで耐久性を高めた。躯体の保護という役割から解放された外装材は脱着可能な素材やディテールに再構成した。新しくできた、仮説的でテンポラリーな外装材と耐久性のあるパーマネントな構造体からなるファサードが、今後の改変が重なるにつれて時間の厚みをまとう姿になっていくことを期待している。
丹青社によるR2(Real-estate Revitalization/不動産再活性化)シリーズの一つであり、内部はエレベータの耐震化やセットアップオフィス化も行っている。また、ビル取得前やテナント工事のコンサルティングも行っている。

Project Point
  1. 構造体を補修することで外装材による躯体の保護を不要とし、テナント側で脱着・更新可能な外装のデザイン・仕様を実装
  2. テンポラリーな表層とパーマネントな構造による、時間性のあるファサードに再構成
  3. 一部の既存設備を活用することで、イニシャルコストの削減やLCCO2の抑制を意図

テンポラリーな表層とパーマネントな構造の切断

雑居ビルに入る店舗の多くが、内装はもちろんビルの外部まで自分たちのお店の一部のように改装しようとする。厳しい規制を掛けてそれを制御することも可能だが、やや寂しい印象のある敷地周辺ではテナントの活気のようなものがあふれ出す方が良いと考えた。
鉄筋コンクリートの構造躯体を覆うアルミパネルは、表層を飾る化粧であると同時に、構造躯体を保護する役割も期待されているように思われた。しかし、1階に入居していたテナントが上から外装材や看板をビス留めしていたことで、低層階の外壁まわりは防水性をはじめ色々な性能が期待できなくなっていた。
傷んだ箇所だけを交換しても将来のテナントがまた手を加える可能性が高く、全面を張り替えるほど全体が劣化している訳でもなかった。そこで、外装材を躯体保護の役割から解放する事にした。傷んでいた低層部のみアルミパネルを取り払い、露わになった躯体のコンクリートを補修した上で、撥水剤を塗布して耐久性を高めた。
新しい外装材は、既存と同じアルミ材としつつ、躯体を密閉する必要が無くなったこととテナント工事での脱着が想定されることを考慮して、サイズを半分にしたパンチングメタル(既存パネルよりも軽くなって交換が容易)を下地にビス留めするおさまりとした。
結果、躯体を覆っているアルミパネルが剥がれ落ちていく様がそのままファサードになったような姿に生まれ変わった。

違反増築により屋内化されていたピロティは適法化した
各階は異なる家具を配置したセットアップオフィスとした

既存外観

所在地:東京都中央区
主要用途:事務所、飲食店
構造:SRC造
規模:地上9階
企画・設計監理:丹青社+渡邉明弘建築設計事務所
設計協力:EOS Plus、テーテンス事務所
撮影:YASU KOJIMA

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